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食品流通

食品流通は安定しますが、戦略が必要です。【解説します】(2/2)

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食品流通会社ってどんな会社を指していうんだろう?安定的な会社だといわれるけど具体的な会社が思い浮かばないので、教えてください。

よくある質問:「食品流通会社って、システム化といっても、どこをどうやってシステム化するのですか?食品を運ぶ点で、機械にさせるのですか?AIの自動運転とかでトラックを使うとかですか?」

(つづきです)

・例えば、ある商品が10コあって、今日は4コ売れたとします。お客さんがレジに通して買った履歴の情報が、あの画面の端末で見れます。明日、仕入れをいくつにするか?という材料(情報)を画面で確認でき、発注に生かしています。

・メーカーがもう間もなく生産を終了するので、発注は控えるように!といった情報も、バイヤーと呼ばれる役職の人が企業データに入力すれば、端末で見ることもできます。「もう発注するのは辞めようか!」という判断ができるのです。天候の条件、季節商品としての販売時期、一個売れるといくら儲かるのか?などの情報も発注に盛り込むことができるのです。

・こうしてできた発注データはさらに商品を供給する卸売、食品商社に送信され、送信されたデーターは、多少の加工を経て品ぞろえのリストなどに形を変えて卸の経理業務の請求作業にも利用されます。

・私が在籍した企業は、そのサーバーにおけるデータ処理能力の向上の為、コンピューティングの世界的に有名な会社とコラボし、独自のシステムをもっていました。

・そして、そのコンピューティングを生かした形で物流も動くように対応型の倉庫もどんどん全国に建てていきました。倉庫の中では正確で、短時間に処理される「小分け」のピッキング(商品を庫内から集めてくる作業)がシステマチックにできるようになっていきました。

・これは、クライアントからのニーズはあっても、なかなか実現できない作業でした。先ず、煩雑なことであったし、売り上げにはなっても、手間を経費に換算すると無駄な作業のうちにしかならなかったからです。

・ただ、この煩雑な小分け物流作業をスピーディーに処理できてしまう倉庫で、バラの注文だけ特化して品ぞろえができるようになりました。

・こうした、クライアントからのニーズであっても、自社にしてみると負の要素である点を、大改革により克服することで、クライアントを味方につける要素となりうることがある事を感じました。

・この頃から、会社の業績は大幅に向上し、ついには卸売と小売業の間で交わされることがあまりなかった「カテゴリー一括納品」という取り組みが全国で始まりました。

その足掛かりとなる第一号がこの横浜から始まったのでした。

・一括物流とは

→大きな小売業(スーパー)は、各メーカーの製品を卸売経由で仕入れしますが、通例として、二つ以上の卸売から商品を仕入れるようにしていました。①片方(一つ)の卸が倒産などした場合、もう片方に一時しのぎの納品をさせることができるようにする ②二つ以上の卸売を競合させて、値段を競わせる

こういったことで、仕入れと販売の値差を大きくし、利益を多くする試みが商慣習上で行われてきましたが、それを打破することを一括物流と呼びます。

ではなぜ、一括物流に切り替えていったのか

→小売り業は販売価格を下げることで競合との価格競争に陥っていましたが、価格競争をするあまり、自分で自分の首を絞めることにも気づいてきました。下記に挙げたような物流経費が大きくなりやすい要素・販売の機会損失要素、それらが利益体質の大きな阻害要因であることを気付いていったわけです。

物流経費を下げれば、利益を経費に吸い取られることがなくなり、こうした方が儲けを出しやすいと気づいていったからです。

※物流経費が大きくなりやすい要素・販売の機会損失要素

  • 卸売による品切れ(売り場での販売チャンスロス)
  • 注文リードタイム(注文してから入荷してくるまでの時間)
  • 棚への品出しの際の不効率化
  • 定時定配の不徹底(パートさんを用意している時間に納品車がこない)
  • 鮮度(商品の新しさ)の改悪

・優秀な卸売に任せることによってこれらの問題の発生がなくなり、一括物流にすることにより、事務作業の効率化等が図れるわけです。

・システム化した為、何百億円もの経費が掛かりましたが、反面、ここから経費がとても小さくなりましたので、この会社は私が入社して翌年に東証二部上場企業に、翌々年には東証一部に上場しました。

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