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食品流通

食品流通にコロナが与えた影響は外食産業への食材供給減です。

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食品流通で今年のコロナ禍が与えた影響で大きな事は何か知りたい。食品が媒介するウイルスではないけど、何かしら業界に影響があったと思えるので情報があれば知りたい。

こういった疑問に答えます。

もくじ

1. コロナ禍で食品流通に大きな変化を与えたのは外食産業への供給減です。

2. 外食が落ち込んだのとは対照的に、売り上げが増大した産業があります。

この記事を書いている私は、当時売り上げ規模一兆円を超える食品流通の商社に13年間勤めていました。冷凍食品営業職と常温加工食品物流管理(バイヤー兼)で在庫金額2億円の倉庫を管理しており、食品流通に関しては一通りの業務を経験してきました。

経験を活かし、興味がある皆さんに食品流通について解説します。

1. コロナ禍で食品流通に大きな変化を与えたのは外食産業への供給減です。

結論ですが、コロナ禍の自粛が外食産業に大きな影を落としました。

・4月の東京都を中心とした自粛要請により、首都圏や関西圏の外食産業、特にお酒を飲みながら食事する業態が軒並み売り上げを減少させました。

・外食産業はチェーン店を中心にセントラルキッチン(食材の一次加工、二次加工を一括下処理をし、店に供給するしくみ。店の調理時間を短縮するのに有益)、食材配送センタからなど、まとめて食材を供給するようになっているので、店の売り上げは仕入れの増減でつかめるようになっています。

・自粛の大号令が先で、自粛への対策についてはかなりの遅れが生じたため、今現在も影響が出ており、年末に向けて外食企業の更なる倒産、自主廃業などが続くとみられています。

・食品流通にて、売り上げが下がった企業はまさに外食産業専門卸、酒卸など、限られた業種に大きなダメージがありました。追い打ちをかけたのは昨年10月に行われた消費税10%への増税であることも確定しています。

・外食産業は提供する食材の付加価値からも推察できますが、調理、給仕、サービス、等これら料金が含まれているわけで、このあたりがGDPに貢献しているところでもあるし、海外からの外国人観光客へのサービス提供(いわゆる、おもてなし)など今後、海外観光客の日本に旅行する楽しみの一つが消えていってしまう危惧も考えられます。

体験談:外食産業への食材供給が減少したせいで、トラックドライバーとして仕事がなくなります。

・「連鎖」という言葉がありますが、今年のコロナ禍は負の連鎖をもたらすものとして、あってはならない事象が発生しています。GDPを成長させ続けなくてはならない理由の一つとして、あらゆる産業はインフラ・マテハン等設備を維持しつづけなければならないという命題があります。

・今回の外食産業へのダメージは、レストランを倒産、廃業に追い込むことで、食材調理の文化、ノウハウ、設備、店舗不動産などを失うことを意味します。反転し、需要が上がってきたときに、供給手段がない・追いつかない ということになります。

・つまり、レストランで提供される調理方法、材料供給手段、店員教育等はすべて資産であるし、文化ともとらえることができます。文化は今日明日で何とかできる訳ではないので、育つのに時間がかかるということなのです。

・にも増して、配送するトラックを持つ運送会社もそうですが、マテハンなども保持するために事業を維持し続けていかないと、生産手段がなくなることを意味します。

・そしてその影響で文化そのものが途絶えてしまうということになります。当然、観光客がリピーターとなって再度レストランに訪れたいと思ったときに、そのレストランがなくなっていれば、それはチャンスロス、言い換えればGDPのマイナス要因となってしまいます。

・今年はその要素を大いに含んでしまい、今後も益々増加する傾向を脱していないのです。配送ドライバーは仕事を失い、他の業種に転職してしまうこともあり得ます。

・需要が回復し、外国からの観光客も日本に訪れたいと思ったときに、食べたい食事をするレストランがなくなった場合、観光の先は、日本から台湾などへ移ることも意味します。チャンスロスの機会は増えているのが現状です。

2. 外食が落ち込んだのとは対照的に、売り上げが増大した産業があります。

結論ですが、お察しの通り、スーパーマーケットなどの小売り産業です。

・スーパー・ドラッグストアの3~5月期の成績ですが、売り上げは前年比で10%程度の伸びを示したとのことです。

・生鮮品の食材の販売としての売り上げは、前頁で申した通り、単価が小さく、外食産業などのサービスのGDP要素がないため、生産高としては小さくなってしまいがちです。

・少し予想外だったのが、小売り産業でも、GMSと呼ばれる大型ショッピングセンターを持つ小売業やコンビニについては売り上げを落としているようです。

・これも、外食の売り上げ不振についても、よくよく考えれば、コロナ禍で国民がどのように生活していたかを考えれば、現象を当てはめ、自ずと結果は想像しできたと思います。つまり、国のかじ取り役である政府や官僚が予測し、そこに対処を施していけば、こんな落ち込みにはならなかったと感じています。

・残念な結果を示してばかりいますが、いい話を一つします。食品流通の世界では、テクニックがあり、そのテクニックにより微妙な線で企業として、こうした惨禍でもかろうじて、生き残る可能性のある方へ傾けられる方法です。それは、外食産業への供給者と小売業への供給者である2つの側面を持ち合わせることで、リスクを1/2に減らすことができるということです。

・付加価値・サービスを提供して単価を大きくする外食産業は小売り業とは全く逆に作用します。景気がいい時に売り上げが上がります。それとは逆に、小売業は景気が悪い時に内食(家庭で食事をする)機会が多くなります。もちろん使えるお金が多い場合は、国民も意識する通り「贅沢な」外食にお金をかける機会が多くなるためです。

・胃袋は一つ、でも、空っぽのままずっと過ごすことができないので、食品流通は一つの胃袋を定期的に満たすための産業だということができます。それはエンゲル係数という家庭内の収入の多さ・少なさを比べる指標が支出に対して食費がどの程度の割合を示すか?ということで理解できることにもなります。

・今後、食品流通を目指す学生の方にとって、こうした指標が何のためにあるのかを捕えておくと便利です。こうした見方のノウハウの蓄積が、食品流通企業において大切な知識となっていくかもしれませんね。

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